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WILD FLOWER

高岡ミズミの情報ページです。 BLという単語に興味のない方は恐れ入りますが直ちにお戻りくださいませ。

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ハッピーホワイトデー!

Category未分類
続いて、ホワイトデーのSSです。
何度かホワイトデーの話は書いた気がしますが、サイン会でお渡しした小冊子の失敗を嘆いていたとき、SSをどうですかと提案していただいたし、いい機会なので。
とりあえず、いつものふたりです。
あ。時期的には和孝が店を開く前で、比較的暇を持て余しているときになります。

それから、コメントや拍手のお礼は改めてさせていただきますね。ありがとうございます!
というか、ブログの放置がすごくてすみません。


 バレンタインデーには、冴島と上総、沢木と、日頃世話になっているひとへチョコレート代わりの贈り物をした。冴島には和菓子、上総にはワイン、沢木の好みはよくわからなかったので若者に人気だというTシャツを選んだのだが――まさか一か月後にお返しがあるとは予想だにしていなかった。
 それぞれ和牛に包丁セット、人気店のケーキとまさに海老で鯛を釣ることになった。なかでも一番驚いたのはケーキで、沢木がわざわざ行列に並んで買ったのかと思うと、申し訳ないような気にさえなったのだ。
「本当に義理堅いっていうか――Tシャツ渡したとき渋い顔してたのに、ホワイトデー憶えているなんて」
先刻、玄関先で手渡してきた際も仏頂面なうえ、無言だった。沢木らしいといえばそうだが、ケーキの箱の中にやばい品物でも入っているのではないかと疑ってしまった。
「顔には出さなくても、嬉しかったんじゃないか」
 スーツの上着を脱いだ久遠が、ネクタイを緩めつつそう返す。テーブルの上に料理を並べながら、和孝は肩をすくめた。
「そうかな。まあ、俺の場合、多分に自己満足なんだけど」
 当の久遠には、葉巻を贈った。こちらも海老で鯛ならぬスーツを釣ったが、いまさらなので開き直ってありがたくもらうことにした。
 同じテーブルにつき、 向かい合って遅めの夕食をとる。今夜のメニューは、ローストチキンにサラダ、ゴルゴンゾーラソースのニョッキ、真鯛のカルパッチョだ。
「そういや、冴島先生が作るものって基本和食なんだけど、洋食もいけるんだよね。一度なんてアクアパッツァ作ったし。アクアパッツァなんて単語が先生の口から出たとき、俺、聞き間違いかと思った」
食事中、話をするのはもっぱら自分で、久遠はたまに相槌を打つ。口数の少なさには慣れているので、気にせず先を続けた。
「あ、明日夕飯、家で食べる? 食べるなら、冴島先生からもらった牛肉ですき焼きにするつもり」
 和孝自身、饒舌なほうではないものの、あまりに暇なせいか久遠に向かって他愛のない話を並べ立てるのが最近の日課となっている。二十代の男としてどうかと思う半面、無駄話の相手としては久遠が最適であるとわかった。
 反応が薄いというのは、存外いい面もある。
「いまのところその予定だ」
「なら、できるだけ早く帰ってよ。いい肉だからさ」
 空になったグラスにワインを注ぎたそうと、ボトルへ手を伸ばした。が、その前に久遠が取り上げてしまう。
「一杯だけという約束だ」
「…………」
 簡潔な忠告が耳が痛い。
 冴島から飲酒の許可が出たからといって、自由に飲めるわけではなかった。冴島、もしくは久遠が同席しているときしか許されないし、量にも制限がある。ビールは一本、ワインなら一杯。
 自分のためだと承知していても、面と向かって駄目出しされると愚痴のひとつもこぼしたくなるのは至極自然な感情だろう。
「禁煙に禁酒。俺、気晴らしもできないってこと?」
「趣味でも作ればいい」
 身も蓋もない一言には顔をしかめる。作れと言われて簡単に作れるものなら、久遠相手に無駄話をすることもないだろう。
「どうせ俺は無趣味のつまんない男だよ。この先の人生、愉しみのひとつも持たずに生きていくんだ」
 わざと大きなため息をついてみせると、
「俺が愉しませてやろうか?」
 久遠が真顔でさらりと持ち掛けてきた。
 どういう意味なのか問うまでもない。唇についたゴルゴンゾーラソースを舐めとるふりで舌を覗かせるというオプションまで見せられ、和孝は黙り込む。
 どうせ面白がられているとわかっているので、久遠の誘いにのるつもりはなかったのだが――結局、同じことだと気づいた。
 食事のあと風呂に入ってから寝室へ向かうか、このまま直行するかのちがいだ。だとしたら、わざわざ抗うほどでもないし、いまさら照れるような仲でもない。
「なら、せいぜい愉しませもらうかな」
先に椅子から腰を上げ、リビングダイニングをあとにする。冷めたふりを装ってみたところで実際はすっかりその気になっていて、胸の高鳴りを自覚していた。
 ゆっくりとドアが開き、久遠が寝室に入ってくる。
 視線が合った瞬間、どんなプレゼントをもらったときよりときめいた自分には呆れると同時にあたたかな気持ちにもなり、和孝は苦笑せずにはいられなかった。

- 2 Comments

メジャーフリーク  

ホワイトデーが2つ

お得なホワイトデー気分です。
和ちゃんと久遠さん、第二部を前に
凄く幸せなラブラブをありがとうございました

2017/03/15 (Wed) 17:15 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: ホワイトデーが2つ

すっかり熟年カップルです。
こちらこそ、読んでくださってありがとうございました!

2017/03/17 (Fri) 17:27 | REPLY |   

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