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WILD FLOWER

高岡ミズミの情報ページです。 BLという単語に興味のない方は恐れ入りますが直ちにお戻りくださいませ。

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クリスマスSS

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「メリークリスマス!」
 横浜にいるのを承知でわざわざ電話をかけたのは、三島に対するささやかな報復だった。クリスマスイブをともに過ごす予定は特になかったが、その日を選んで久遠を呼び出すなど嫌がらせ以外のなにものでもない。
「……そこって、どこ?」
 電話越しにもやけに賑やかなのが伝わってきて、和孝は怪訝に思う。ホームパーティにしては、耳に届くのは黄色い声ばかりだ。
『ここか? ここはキャバクラだ』
 返ってきた答えに、自然に眉根が寄る。久遠への電話に三島が割り込んできたのは、初めてではなかった。
『キャバクラはいいぞ~。姉ちゃんたちのノリはいいし、なによりみんなピチピチしてる』
 笑い混じりでそう言われ、怒りでこめかみがぴくぴくしてくる。クリスマスイブに久遠を呼び出した理由がキャバクラだというのはさておき、無関係の自分まで厭な思いをさせられるのは納得がいかない。
『いまから兄ちゃんも来るか? ああ、兄ちゃんの場合は女より男のほうが好きなんだったか』
 返答するのもばかばかしいので、無言で聞き流す。が、それがかえって三島を悪ノリさせたようだ。
『久遠もモテモテで愉しそうだ。あいつが今夜女を抱いても、うるさく言うなよ。男の甲斐性だ』
「――――」
 これ以上つき合う気にはなれず黙ったまま電話を切ろうとした、その直後、ようやく目的の相手の声が聞こえてきた。
『いいかげんにしてください』
 呆れた様子で三島に抗議した久遠が、
『もうすぐ帰る』
 ため息混じりでそう続ける。
 久遠が三島に従うのは仕方がないとわかっていても、いったん傾いた機嫌は容易く直りそうになかった。
「モテモテなんだって?」
 むかむかしつつ、八つ当たりと承知で苛立ちを久遠にぶつける。
「言っとくけど、シャツに口紅つけて帰ってきたら、二度とあんたとはしないから」
 反論があるならすればいいと言外に伝えると、久遠がふっと笑った。
『それは困る』
「だったら、もうすぐじゃなくていますぐ帰ってくればいいだろ」
 言うだけ言って電話を切った和孝は、携帯をソファに放り投げた。しばらくはむすりと口元を歪めていたものの、急に可笑しくなってくる。
 いまのは八つ当たりというより、やきもちだと気づいたせいだ。おそらく久遠もそう聞こえたから、反論せずに笑ったのだ。
 こうなったらしようがない。ものはついでだ。
 プレゼントもクリスマスケーキもない代わりに、とびきり甘い口づけで迎えてやろう。もちろんその後はふたりしてベッドに入り、いつものやり方で夜を過ごすことになるだろう。
「せっかくのイブだし、大サービスするかな」
 だから早く帰ってこい。
 聖なる夜には不謹慎な想像をした和孝は、上機嫌で久遠を待つ。いつしかクリスマスソングを口遊んでいたことについては、口が裂けても言わないけれど。


ずいぶん遅れましたが、以下、拍手のお礼です。

Pさん、初めまして。いま頃になってしまってすみません。VIPを読んでくださってありがとうございます! 再録集も入手してくださったんですね。とても嬉しいです(*^_^*)やっと新刊が出ました。
少しでも楽しんでいただけるよう、心から祈ってます!

Tさん、いま頃になってしまってすみません。
ようやく発売となりました~ヽ(^o^)丿
ぜひ久遠に会ってやってくださいませ!

- 8 Comments

メジャーフリーク  

三島さん

良い趣味してますよね。
ハラハラドキドキ、楽しくラスト拝読できました。
宮原さんその後、出来れば、上総さんネタ、等々、番外編、沢山出して頂けたら最高です!

2016/12/28 (Wed) 19:58 | REPLY |   

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2016/12/29 (Thu) 23:46 | REPLY |   

由  

残月、拝読させて頂きました。

感無量とはこの事かな・・・・と。
年末にシミジミとこれまでのお話を思い返していました。
まさか、この巻がラストだと思わず、まだ、出ないんですかと、催促したことさえ後悔しています。

まさか、あの和孝が父親と同じ職業に就くとは。
そして、久遠に言われるまでそれに気づかないとは。

ところで。

佐々成美先生はご病気か何かなんでしょうか。
最終巻に佐々さんのイラストがつかないなんて、普通なら考えられませんし、販売が延び延びになっていたのも、佐々さん待ちだったのかな・・・とか、色々考えてしまいまして・・。なおさら、販売を急かしてしまった事に後悔してしまいます。

でも、残月の表紙も素晴らしかったです。

次回は宮原さん編だとか。
久遠さんと和孝が少しでも出られるようにお祈りしてます。

この十数年、個人的にも色々とあった中、このVIPという作品に出逢えて、折々に読ませて頂いて、本当に感謝しています。
ありがとうございました。

お疲れ様でした。
また、次作を楽しみにしています。

2016/12/31 (Sat) 21:13 | REPLY |   

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2017/01/22 (Sun) 20:04 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: 三島さん

読んでくださってありがとうございます! とても嬉しいです(*'ω'*)
解決していないこともあるので、それらを拾いつつ、いろいろ書いていけたらいいなと思ってます。

2017/03/17 (Fri) 17:05 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: タイトルなし

Kさん、ありがとうございます! ブログ、すっかり放置してしまってすみません。もともと筆不精なので……どちらかといえばSNSは苦手分野であります(-_-)
さておき、残月を呼んでくださってありがとうございます! とても嬉しいです! ぎすぎすしていたふたりもすっかり熟年カップルのようになりました。が、おそらくこの先も平穏無事な生活とはいかないはずですので、いろいろ書いていけたらなあと思っています。
サイン会は、距離的な問題がありますよね。私も山口に住んでいたのでよくわかります。小冊子につきましてはいまのところ明言はできないのですが、その他含め、多くの方が読めるようにできたらなと考えています。
薔薇王院もありがとうございます❤
苦労したのですが、終わってみるとちょっと寂しいですよ。
Kさんもどうぞお身体ご自愛くださいませ。
ありがとうございました。

2017/03/17 (Fri) 17:19 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: 通販

ありがとうございました!

2017/03/17 (Fri) 17:20 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: タイトルなし

由さん、残月、読んでくださってありがとうございます!
いろいろ迷いはあったのですが、ひと区切りつけたほうがいいだろうということで最終巻となりました。
驚かせてしまい、すみません。
イラストに関しましては、諸事情ありまして……きっと愉しみにされてましたよね。私も残念です。が、デザイナーさんがとても頑張ってスタイリッシュに仕上げてくださいました!
こちらこそ、多くの本のなかからVIPをお手にとってくださったこと、感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました!
まずは宮原編、頑張ります(*´▽`*)

2017/03/17 (Fri) 17:46 | REPLY |   

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