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WILD FLOWER

高岡ミズミの情報ページです。 BLという単語に興味のない方は恐れ入りますが直ちにお戻りくださいませ。

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クリスマスSSです。

Category未分類
急きょ書き始めたので、文章等のあらには目を瞑っていただけると助かります。
なんのSSにしようかと考えたすえ、延期になってしまったVIPにしました。
短いですが、よろしければ一読していただけますと嬉しいです。

「いま時間ある?」
 朝っぱらからの電話は、図らずもささやかなサプライズになったらしい。
『めずらしいな』
 久遠がそう答えるのも無理はない。仕事終わりに電話をかけてくるのはもっぱら久遠のほうで、和孝自身はそれによってまっすぐ帰宅するか、それとも寄り道するかを決めているのだから。
『午後から出かけるが、いまは自宅だ』
 久遠の返答に満足し、
「いまから行く」
 その一言で電話を切った和孝は、車のエンジンをかけるとちらりと視線を助手席の荷物に投げかけた。
 クリスマスや正月、バレンタインデー等。世のカップルが盛り上がるそれらのイベントとは無縁に過ごしてきた自分たちだが、たまには世間に倣ってみてもいいはずだ。突如思い立ち、帰宅途中に早朝から開いているスーパーに立ち寄ってケーキとチキン、朝なので子ども用シャンメリーを買って久遠に電話をかけたのだ。
「いてくれて、よかった」
 さすがにひとりでふたり分片づけるのは厳しいのでほっとしつつ、久遠のマンションへと急ぐ。ケーキを差し出したときの久遠の顔を想像すると、自然に頬が緩んだ。
 十数分後、マンションの地下駐車場へ到着する。右手にケーキ、左手にチキンとシャンメリーの入ったスーパー袋を持ってエレベーターで最上階を目指した。
 玄関でインターホンを鳴らし、久遠が姿を見せるのを待つ間はがらにもなく浮かれてしまっていた。久遠の反応はさておき、どうやら自分自身愉しんでいるようだ。
 ドアが開錠される。
「メリークリスマス!」
 開けるや否や声を上げると、そこに立っていたのは久遠ではなかった。
「うっす」
 顎を前に出すように挨拶をしてきた沢木が、素知らぬ顔で靴を履く。てっきり久遠が出てくるとばかり思っていたせいで、はしゃいでしまった自分が恥ずかしくて顔が赤らんだ。
「沢木くん、来てたんだ」
 こほんと咳払いをして、なにげなく水を向ける。
「もう帰ります」
 沢木はいつもどおりだ。きっと今日も昨日と同じ一日を過ごすのだろう。
「あ、あのさ。一緒にケーキ食べない?」
 和孝にしてみればちょっとした労いつもりだったが、案の定不審げな視線を向けてくる。確かに、唐突すぎたかもしれない。
「これ、持っていって」
 和孝は、立ち去ろうとする沢木にケーキとスーパー袋を押しつけた。
「いらねえっすよ」
「いいから」
 そんなやり取りのすえ、半ば無理やり渡してドアの外へと追いやると、結局、いつもと同じ手ぶらになってしまい苦笑した。いや、そもそもクリスマスだから特別なことをしようなんて考え自体、自分たちには不似合いだ。
「おはよう~」
 普段どおりの挨拶とともにリビングダイニングに足を踏み入れる。直後、目に飛び込んできた光景に和孝は目を見開いた。
「おまえから電話があったとき、ちょうど沢木がこれを持ってきた」
 ダイニングテーブルの上には有名店のケーキと、シャンパン。驚いたことに卓上用の白いツリーまで用意してある。
 どうして、と問おうとした和孝の頭に、ひとりの顔が浮かんできた。
「……上総さんか」
 気の回る腹心がいることは自分にとって幸運なのか不運なのか。これまで何度かお膳立てしてもらってきた身としては、複雑な心境だった。己の腑甲斐なさを痛感するはめになるからだ。
 だが、その予想は外れた。
「いや。俺が沢木に頼んでおいた」
「え――」
 まさかと疑い、久遠を凝視する。どうせ久遠はクリスマスなんて眼中にないだろう、そう決めつけていたために意表を突かれてしまった。
「……マジで?」
 半信半疑の和孝に、久遠はひょいと肩をすくめた。
「おまええはこの手のことには無頓着だが、たまには普通らしくていいだろう?」
「…………」
 その言葉、そっくりそのまま返す。いつもならそう反論したはずの和孝であっても、今回ばかりはうまくいかない。
「あ……ありがとう」
 気の利いた台詞のひとつも返せればいいのに、口にできたのはそれだけだった。   
 それでも、サプライズが流行るわけは十分理解できた。こういう不意打ちをされて厭な気分になる人間なんていないだろう。
 シャンパンの封を開ける久遠を前にして、来年は自分の番だと心に決める。
 来年のクリスマスこそ完璧なセッティングをして自宅に招き、久遠を驚かそう。なにしろ計画する時間はたっぷりある。
 絶対に負けないと、シャンパングラスを持つ手にぐっと力をこめた和孝は、まずは今年を満喫するために決まり文句を口にした。
「メリークリスマス」
 窓から注いでくる朝陽に目を細めながら。

- 2 Comments

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2015/04/13 (Mon) 00:47 | REPLY |   

高岡ミズミ  

Re: 感動

yさん、いま頃になってすみません! 初めまして! 
とても嬉しいお言葉に感激してます。いろいろと読んでくださったうえ、VIPを何度も読み返してくださったとのこと、これ以上のことはないです。書いててよかったなあと心から思いました。
そして、クリスマスSSも読んでいただけてよかったです(*^_^*)
yさんのお言葉を励みに頑張ります!

2015/05/14 (Thu) 17:59 | REPLY |   

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